1993年3月30日火曜日

ヨーロッパの生活

  今月は日本からの出張者と南ドイツを車で回ったが、シュッツガルトからミュンヘンへの移動の途中、ウルムに立ち寄った。聖堂の高さが164mで世界一の高さで有名である。たまたまその中でパイプオルガンが奏でられていた。教会の中でのパイプオルガンの音はCDでもかなわないすごみがある。日本からの出張者もそのすばらしさに感激していた。それに加えて、こういう音楽が身じかに聞け、しかも、格安で、時には無料で楽しめることを説明、これには驚いていた。

  短いヨーロッパ滞在期間なので、日本では経験出来ないことを極力実行しようと努めているが、その一つが音楽。時間があれば、近くの教会、小さなホール、大きなホール、オペラハウスなど出かけて楽しんでいる。日常の生活の中で自分の好きな時に音楽を楽しめる。たとえ無料(教会の場合専属の演奏者は無料の時が多い。)、あるいは安いチケットでもいずれもプロであり腕前は上々だ。デュッセルドルフのオペラハウスも毎日のように開演しており、ふと時間があれば聞きに、見に行くことが出来る。さすが超人気のオペラ、たとえばアイーダ、カルメンなどの時には数週間前に売り切れになっており入れない場合もある。出張などで予定が変わることが多い今の仕事では数週間前に予約する事は出来ずこの点は我慢せざるを得ない。

  ヨーロッパ人が生活の中で身じかに音楽を楽しんでいるのを見て、日本での音楽の受けとめ方があまりにも教条主義的で、権威主義的であるかを思い知らされる。一昨年かの有名な小沢征爾とまたまたあまりにも有名な斉藤記念オーケストラがデュッセルドルフのトーンハーレに来たが、会場は日本人で超満員であったという。私はあえて行かなかったが、身じかで行われている演奏会にはほとんど日本人は見られないことを知っている私にとって、あまりにも好対照を示している出来事として記憶に残っている。