日本のゴールデンウイークは4月末から5月初めにかけてあるけれど、ヨーロッパではキリストが復活するというイースター休みがそれに当たるのではないだろうか。ドイツでは日曜日をはさんで金・土・日・月の4日連休となる。もちろん、ヨーロッパの人々はこれとは関係なく休みをとるので、この時は家でゆっくりと過ごす人が多いようだ。一方、日本人にとっては旅行出来るチャンスである。
しかし、今年は妻が所用で一時帰国していたためデュッセルドルフでゆっくりと過ごすことにした。金と月は日本からのファックスをチェックに午前中事務所に出かけ、午後自分の好きなように過ごした。金と土は晴天であったので、1日目はジョギングに汗を流し、2日目は自転車でデュッセル市内、市外をサイクリング、3日目の日曜日はあいにくの雨。外出出来ないのでオペラを見に行った。ホフマンの舟歌で有名なオッフェンバッハのホフマン物語であったが運よくチケットを買う事が出来た。いつものことながら、人間の肉声の迫力、繊細さを堪能して帰った。最後の日も小雨、しかしやみそうな感じなのでドライブに出かけた。アーヘンからトリアに向う道にはドイツでは珍しい景色の良いところがあり、川、湖、林などにたくさんの人が出向いていた。
再度感心させられたのは自然がよく残されており、人々は車で近くまで出かけて、車から降りて散歩を楽しむのがドイツ的休みの過ごし方の一つのようだ。我が家はライン川の側にあるが、川沿いに散歩・ジョギングコース、サイクリングコースがあり、いつでも楽しむことが出来る。自然を残すと言うより自然のなかで生きている。
自然の中では、人の考える事などちっぽけでわがままなもの。自然科学の世界ではこの人のはかない考えを実証主義により常に修正しわがままを押さえることにより、近代の自然科学の成果が得られた。実証主義が認められなければ、未だに人類ははかない論理、わがままな論理、都合の良い論理などで支配され、自然科学の世界は今のような発展はなかっただろう。
とはいえ、自然科学の世界でも人が知り得たのはほんのわずか。自然の神秘はまだ依然として大きい。試行錯誤がずっと続く。人は自然のなかで生きているということを忘れると、いずれ自然の大きな逆襲に会うのだろう。自然と共に生き、自然を守る。ドイツは少なくともそれをしなければならないと努力していることを今回も肌で感じた。